唱歌「ふるさと」において「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川」と歌われるように、フナは日本の水環境を象徴する魚の一つでもあります。フナ類の中でも特に多いのがこのギンブナです。また、日本の淡水魚類の中で、唯一、沖縄から北海道までおそらく在来で全国に分布する魚でもあります。とはいえ外部形態にかなりの地域変異があり、普通種でありながらギンブナの定義については魚類学者の中にも様々な意見がある分類の難しい魚です。ここでは体高がやや高く、銀色で、背鰭の軟条数が17本前後のものをギンブナとします。そうしたギンブナは筑後川流域でもよく見る魚ですが、最近は減ってきているようです。
ギンブナは珍しい生態を持っていて、普通はメスしか存在せず、単為生殖します。卵は、コイなど別の魚の精子が刺激となって発生しますが、精子の遺伝子が卵子に組み込まれることは基本的にありません。いわばギンブナはクローンで増えていきます。しかし近年の研究では、そうしたクローンで増えているはずのギンブナに、比較的高い遺伝的多様性があることもわかってきました。つまり、時々何らかの方法で他の個体の遺伝子を取り込んでいるようなのです。誰でも知っているフナですが、まだまだ謎が多い魚です。




