ゲンジボタルは本州・四国・九州に広く分布する代表的なホタルの一種で、その美しい発光と幻想的な光の舞で古くから人々に親しまれてきました。筑後川流域では、5月中旬から6月上旬にかけて見られます。この”光の舞”はゲンジボタルのオスがメスと出会うための言葉のようなもので、東日本と西日本では発光のパターンが異なることが知られています。また最近になって長崎県の五島列島ではまた別のパターンで発光することが報告されました。つまり各地のゲンジボタルは少しずつ遺伝子が異なり、発光のパターン、すなわち言葉が異なるということになります。面白いですね。しかしよそからゲンジボタルを持ち込み放流してしまうと、この言葉が乱れてしまい、うまくオスとメスが出会えなくなってしまう可能性があります。ホタルを他の地域から持ち込んで放流することはやめましょう。
交尾をした後のメスのゲンジボタルは、水際の湿ったコケの上などに卵を産みます。卵から産まれたゲンジボタルの幼虫はカワニナを餌として成長します。十分に成長した幼虫は春先に上陸し、陸の土の中でサナギになります。このことから、ゲンジボタルが生きていくには、オスとメスが光で会話するための「川沿いの暗い森」、卵を産むための「湿った水際」、幼虫が育つための「たくさんのカワニナ」、さらにサナギになるための「川から陸へスムーズに上陸できる環境」や「陸上の柔らかい土」などの要素が必要です。つまり、ゲンジボタルを増やすには、こうした川の本来の環境を再生することが、放流よりも何よりも重要なのです。


ゲンジボタルはヘイケボタルとよく似ていますが、前者が5-6月に成虫が出現するのに対し、後者の成虫の出現時期は6-8月と長いです。また、ゲンジボタルの成虫は最大1.8cmほどですが、ヘイケボタルはより小型で最大1cmほどであること、ヘイケボタルの胸にある黒い模様はゲンジボタルよりも太いことから、覚えれば区別は簡単です。

